【骨を知る①】
骨強度=骨密度+骨質

骨の強さは骨の「量」=骨密度と考えがちですが、それだけで決まるのではありません。もうひとつ、重要なのが「骨質」です。 骨の質が悪くなると骨は脆くなり、骨密度が問題なくても骨折する危険性は高まります。骨質は年とともに低下しますが、普段の 食事や運動不足などの生活習慣が大きく関係していると言われています。

骨の代謝について

骨は成長期が終わっても、「リモデリング」という代謝を繰り返します。そのリモデリングには、骨を造る骨芽細胞と骨を壊す破骨細 胞が関係しています。骨粗しょう症は、骨を壊す(骨吸収)細胞の「破骨(はこつ)細胞」と骨を作る(骨形成)細胞の「骨芽(こつ が)細胞」のバランスが崩れて起こる病です。破骨細胞の活動が活発になると、骨強度が低下します。本来であれば骨芽細胞が骨を作 りますが、この骨芽細胞の活動が低下すると、骨を壊す速度に作る速度が追い付かずに、骨の強度が低下した「スカスカ」の骨になっ てしまいます。これが骨粗しょう症です。

骨の強度について

①骨の強度には、②骨密度と③骨質が関係していると前述しました。骨密度とは、骨に含まれるミネラルの量です。一方、骨質とは骨 の微細構造や骨の代謝の状態などのことになります。

骨の強度とカルシウムとコラーゲン

ビルディングでいえば、カルシウムはセメント、コラーゲン は鉄骨です。セメントだけでは丈夫なビルディングをつくる のに必要なコンクリートはできません。骨の場合このコンク リートに相当するのは、「ハイドロキシアパタイト」と呼ば れる固い物質(リン酸カルシウム)です。このハイドロキシ アパタイトは骨密度に強く反映されますが、骨質はコラーゲ ンの状態によって変わります。破骨細胞は建物を壊す解体屋、 骨芽細胞は建物をつくりつづける大工さんのような存在だと いえます。骨強度低下は破骨細胞が活発で骨芽細胞の活動が 弱くなっているアンバランスな状態で起こります。この時に カルシウム(セメント)をいくら摂取しても、ハイドロキシ アパタイト(コンクリート)とコラーゲン(鉄筋)をつくっ てくれる大工さんが弱っていたらまったく意味がありません。 またコラーゲンを摂取しても意味がないことは前に述べた通 りです。

骨の健康維持に本当に必要とされることは、カルシウム摂取でも、コラーゲン摂取でもなく、破骨細胞の活動を抑え、同時に骨芽細胞 を元気にすることだといえます。骨芽細胞は元気になると、骨そのものであるハイドロキシアパタイトとともに、コラーゲンも活発に つくるようになります。