【骨粗しょう症①】
骨粗しょう症の様々な要因

骨粗しょう症にはさまざまなリスク要因があります。一般的に骨粗しょう症は、女性の方が発症しやすい病気です。なかでも50代以上の閉経した女性に発症率が高くなっています。ここでは主なリスク要因を見ていきましょう。

加齢

男性も女性も、骨は成長期に活発な代謝を繰り返して増加し、20歳前後で最大骨量(ピーク・ボーン・マス)に達します。40代半ばくらいまでは一定の骨量を維持できますが、その後は加齢とともに徐々に減りはじめます。加齢による骨量の減少は、そのスピードを遅らせることは可能ですが、完全に食い止めることはできません。

女性の閉経

女性ホルモンのひとつであるエストロゲンは、骨にカルシウムを蓄える「骨形成」を促すとともに、骨からカルシウムが溶け出す「骨吸収」を抑える働きがあります。ところが、このエストロゲンは閉経によって分泌量が急激に減少するため、骨粗しょう症になる危険性が高まります。無月経や生理不順の女性も、エストロゲンの分泌量が少なくなります。

遺伝

骨の強さは遺伝的要素も影響するといわれており、近親者に骨粗しょう症、特に母親が大腿骨近位部骨折を経験した場合には注意が必要です。ただ、家族間などで似ている生活習慣の影響を遺伝と混同してしまうことがあります。自分や家族の生活習慣も見直すことも大切です。

ダイエット

無理な食事制限による極端なダイエットは骨粗しょう症予防のためにも禁物です。極端なダイエットをすると、カルシウムやビタミンDといった骨をつくるための栄養素が不足します。また、骨をつくる細胞を活性化させる女性ホルモンも減少するなど骨の形成に大きな悪影響を及ぼし、骨粗しょう症になるリスクを高めることになります。若い頃の過剰なダイエットは将来のリスクになるので要注意です。

喫煙・飲酒

過度な喫煙や飲酒は胃腸でのカルシウムの吸収を阻害し、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌も抑えるため、骨量不足を招きます。また、間接的に骨粗しょう症につながる、ほかの病気のリスクにもなります。アルコールを過剰に摂取すると利尿作用により、尿と一緒にカルシウムが体外に排泄されてしまいます。

男性も注意

骨粗しょう症が女性に多い病気であることは確かです。男性は成長期に形成される最大骨量が女性にくらべて多く、女性のように閉経にともなう急激なホルモンの変化もないためです。しかし、糖尿病などの生活習慣病の影響で骨質が悪くなった場合は、たとえ骨量に余裕があっても骨粗しょう症につながります。また、男性も80歳をすぎると患者が増加します。男性も油断はできません。